【データで見る】ベジェリンとセドリックの比較

2021-03-08データ分析記事紹介

最近アーセナルファンの間で『ペペがスタメンする際には特に、セドリックが右サイドバックとして先発するべきではないか』というのが話題になっている。

今回は、スタッツ面で見るとこの二人の成績はどうなっているのか、というのを分析していきたい。ただし、セドリックはまだアーセナルで出場試合数が少なく、ELの格下相手の試合も多いため、データが選手の特性を完全に正確には表していない可能性がある点だけ了承願いたい。

ポジショニング

恐らく、セドリックがベジェリンと最も違うのは、伝統的な右サイドバックらしさで、横幅をとり、オーバーラップで外を駆け上がったりするようなプレイがベジェリンより得意だという事だ。

プレイを見た印象と同じく、二人のボールたちマップを比べてみても、平均してベジェリンよりもセドリックの方が3ヤードほと外側でプレイしているのがわかる。

ボールタッチのデータなのでボール非保持時のポジショニングは反映していないが、大外でボールを触る割合がベジェリンの64%に対してセドリックは87%と高い。

ベジェリンがサイドでプレイしない、というわけではないが、彼は特に低い位置でそれが顕著だが、右のハーフスペースでのボールタッチがかなり多い。

もちろんこれはミケル・アルテタの要求の違いの可能性もあるので、どちらかいいのか、というのは一概には言えないが。

私が試合を観た限りでは、ペペとベジェリンは右のハーフスペースでプレイエリアが被ってしまう場合がかなり多いように思う。一方で、サカは右の大外のポジションをとるのを苦にしないので、ベジェリンのプレイとかち合ってしまうようなケースは少ない。

セドリックとサカが一緒に右サイドでプレイしことがほとんどないので何とも言えないが、確かに中に入ろうとするペペとの相性はセドリックの方が良いといえそうだ。

ボール前進

セドリックの右サイドでのプレイ時間は少なすぎ、サンプルの大きさとして足りないので、これ以降のスタッツにはセドリックの左サイドでのプレイも含めてある。もちろん、これはこれで右利きの左サイドバックとしてのデータも含まれることになるので、少々セドリックに不公平かもしれないが。

パス数は二人とも大差なく、大体90分当たり56本程度のパスを試みている。二人とも私が算出したパス成功率期待値の数字を若干上回るくらいの成功率で、ベジェリンの方が83%(セドリックは76%)と高いが、これはどちらかというとパスの精度というよりもショート-ミドルパスの数が影響していそうだ。

同時に、ベジェリンは90分当たりのボールロストが7.7(自陣では2.5)に対してセドリックは10.9(自陣では3)なので、やはり少しベジェリンの方が安全な選手だといえる。

直近一年のセドリックのボールロストとパスミス。ワイスカウトのデータ。
こちらはベジェリンのもの

スタッツボムが提供する90分当たりのプログレッシブパス数では、ほとんど同じだが、ベジェリン(3.6)が若干セドリック(3.4)を上回っており、プログレッシブキャリー(ボールを大きく前に運ぶようなもち上がり)もそれぞれ4.9と4.7と似たようなものだ。

一方で、ファイナルサードへのボール前進に限ってみれば、パスドリブル両面でセドリックに軍配が上がる。(それぞれパスによるファイナルサード侵入はセドリック3.5に対しベジェリン2.4、ドリブルは1.8と1.3)

ドリブル突破ではセドリックが少し上回っているものの、そこまで大きな違いは見られない。

セドリックの直近1年の成功ドリブル突破
ベジェリンのもの

攻撃面

xGチェーンとxGビルドアップで見ても、ベジェリンとセドリックの数字は似通っている。二人ともxGチェーンは0.36、xGビルドアップ(xGチェーンとは違い、シュートとアシストを除いたデータ)はベジェリンが0.27でセドリックが0.24だ。

二人とも特にシュート数が多くはなく、アシストという点でも、ベジェリンの90分当たり1本のキーパスでアシスト期待値は0.1という数字とセドリックの0.9と0.1という数字はほぼ同じだ。

シュート創出アクションでいうと、セドリックの90分当たり1回に対しベジェリンは1.6なのでこちらが少し多い。

クロスを試みた数だけでいうとセドリックの方が90分当たり3.4本(ベジェリンは2.3本)と多いが、実際に味方に繋がったクロス数でいうと0.3で0.4のベジェリンよりも少なくなっている。また、ベジェリンと比べて明らかにセドリックの方がグラウンダーではなく浮き球のクロスが多い。

直近1年のセドリックのクロス
ベジェリンのクロス

低いクロスや近い位置からのカットバックのほうがより危険なボールなので、一般的に言って、ベジェリンのクロスの方がボックスにも近く、より効果的な傾向にあるというの見方は出来るかもしれない。

今季のワイスカウトのデータベースによると、ベジェリンは64本クロスを上げ、43.8%が成功、ここから1.9のxGを生み出した。セドリックは71本クロス企図しているが31%成功、アシスト期待値は1.4だ。

守備

さて、読んできた方は気づいたかと思うが、ここまで私は二人のうちのどちらがわずかに勝っている、ほぼ同じ、など、基本的にどっちつかずのコメントしかしていない。

だが、セドリックとベジェリンの違いが一番顕著に表れるのがこの守備に関してだ。

基本的には、ブロックを除けばタックル、インターセプト、クリア、プレス、一対一勝率などすべてでセドリックの方がベジェリンよりも良い数字を残している。

総合的に見て / SmarterScout

今回の分析から見てわかったのは、攻撃面での貢献に関して、私が思っていたよりもセドリックとベジェリンは近いということだ。シーズン開始時の予想は少しセドリックにアンフェアだったかもしれない(もちろんまだサンプル数が少ないので、最近のセドリックが単に好調なだけかもしれず、はっきりと言い切ることはできないが)。

そして、彼が左サイドバックとしてプレイできる点はアーセナルにとって非常に有用だ。

とはいえ、差は思ってたより小さいとはいえ、パスとファイナルサードでの走り込みに秀でたベジェリンの方が良い選手だと私としては思う。

恐らくショートパスで味方と連携するタイプのサカとより相性が良いのはベジェリンで、かつ現状アーセナルの右サイドで最も優れた選手なのがサカなのは間違いないだろう。

また、今後アルテタはヨーロッパリーグとプレミアリーグを両立させるためにローテーションを行っていくだろうが、その際にペペとセドリックを組ませるようにするというのは良い考えに思える。彼らは相性が良いようだ。

ただ、究極的には、アーセナルの右サイドバックはまだまだ改善の余地があるポジションであり、特に夏にもしベジェリンへのオファーが舞い込むようであれば、アーセナルは補強を考えるべきかもしれない。

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Posted by 山中拓磨